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はざまの女神紋様は、巫女にとっての魔法の鏡である。

紋様のパーツそれぞれは『しるし』として独立しており、『しるし』にはそれぞれに『しぐさ』が割り振られている。『しるし』の集合体は『しぐさ』の集合体でもあるため、全ての『しぐさ』を連続して行うと、約30分程度の動的な儀式となる。ちょうどこの紋様が巫女にとっての鏡写しであるように、左右の動きを再現して行く。この儀式は水曜拝火会に行うこともできるし、縮小版をたとえば旅先でひめひこ講を行なうときや、願掛けをしたいとき、火を見つめたとき、ふとトランスに入りたくなったときなど、巫女の好きな時に、日々のおつとめのような感覚で行うことを推奨している。

この紋様を使って占いを行うこともできる。この占いもまた、水曜拝火会やひめひこ講、それ以外の日常で行うことができる。方法は、手近な小石や枝などの適当なものを、質問をしながら紋様の上に投げ、落ちた場所から意味を読み解くというものだ。『しるし』の意味だけでなく、火と水、獣、前後左右といった、レイヤー別に紐づけられている意味を、巫女は直感的に読み取ることができる。

はざまの女神紋様は、かならず自分で作るべきである。作る過程で、先輩巫女であるオサポたちとコミュニケーションをとりつつ、可能であれば巫女仲間で集まってお茶を飲んだりしながら刺繍を進めることが好ましい。オフラインで場所を設けるのが難しい場合はSkypeやLINEのビデオ通話を使うこともできる。巫女同士で、自分の体験談や心配事や、興味関心について、たのしくおしゃべりに花を咲かせながら行うこと。もし一人で行うなら、日常の営みに溶け込ませるように、暇を見つけて少しずつ進めること。この紋様は、一心不乱に我が身を削るようにして刺されるような類のものではない。喜びや悲しみや、笑いや愚痴、そして時には祈りの心、つまり女性のあたりまえの心の営みを、針先のリズムに合わせて染み込ませてゆくことが、このはざまの女神に命を与えるトリガーとなるのである。

この女神は、あちら側とこちら側、遠くと近く、目に見える世界と見えない世界の、「全ての世界のはざま」に立っている。目に見えず言葉で語ることのできない事柄を、彼女はかろうじて目に見える像としてむすび、私たちのまえに現すが、ふと目を逸らせばあっという間にほろほろとほどけ、あとかたもなくどこかへ消えさってしまうような。そんな煙のような、陽炎のような存在である。

彼女は世界中の過去現在未来の、魔女、巫女と呼ばれる女性たちを守り導く、血脈の源流、私たちの源の女神である。

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◼『しるし』と『しぐさ』について